花王が取るべき一つの冴えたやり方

花王 不買に関するツイート まとめ(韓国・フジテレビ関連) - Togetter
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amazonレビューが炎上すると、多くの人が喜んでアフィー付きで拡散する - 情報の海の漂流者
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いろんな意味で残念な話だし、あんまり興味もなかったけど、まだ見聞きしない名案が浮かんだので書く。

花王は自社製品が不買運動を起こされているという事実を全面的に広告するべきである。

今回の件で、花王の売上に与える影響は微々たるものだろうと予測できる。理由として、ネット上の不買運動の影響を受ける購買層と、売上の多くを占める購買層はおそらく異なることが挙げられる。
しかし、amazonのレビューで「品質が悪い」と書きこむような、不買運動からかけ離れた誹謗中傷の類は地味に痛い。イナゴが飽きてしまった後も、花王というブランドに塗られた泥は永遠に残ってしまうからである。

企業的判断としてスポンサーを降りるというのは完全な愚策である。理由として以下の3つがあげられる。
1.スポンサーを降りたところでもamazonのレビューのような傷跡は永遠に残り続けること
2.視聴率が取れる枠の宣伝効果を失うこと
3.運動に屈するという実績を残すこと
3の影響は特に大きく、この程度のことでスポンサーを降りると判断されると、今後も同様のことを起こされるリスクが格段に増え、結果的に自社の看板に泥を塗る事になる。
無視を決め込むというのもひとつの判断だが、不買運動ならまだしも誹謗中傷で看板に泥を塗る行為を見過ごすことは、今後もおもちゃにされることを受け入れると宣言するに等しい。


よって、花王不買運動を受け入れ、誹謗中傷とは戦う姿勢を見せつけるべきである。
具体的には、自社製品が政治的な理由で不買運動を受けていること、それに絡んで不当な誹謗中傷を受けている事実を淡々と書く。
その上で、前者の行為には「消費者の判断を問う」として受け入れる寛容さを示し(具体的に〜売上が下がったらスポンサーを降りるとか宣言すると面白い)、後者の行為は徹底的に戦う戦意を見せつける。
これが話題になれば、誹謗中傷の類は(ほんとうの意味での低い評価ですら)排除されることになるはず。

なかなかの案だと思うけど、たぶん企業広報とかなら先に思いついてるだろうなあ。

ブラックスワン


 またもう一つ、これに似た遊戯を当時、自分は発明していました。それは、対義語(アントニム)の当てっこでした。黒のアント(対義語(アントニム)の略)は、白。けれども、白のアントは、赤。赤のアントは、黒。
太宰治 人間失格より」

ラサール石井さん暴言で炎上! - Togetter
なんだか清廉潔白な白鳥が妖艶耽美な黒鳥を演じるには、恋愛経験を積むことが大事とされている映画だけど、私は違った解釈をしたい。これは白が黒く染まる映画ではなく、黒よりも闇に近い赤を目指し、赤に染まる映画だと思う。


浅田真央キム・ヨナ北島マヤ姫川亜弓に例えられることは多い。
http://tawakedoumei-suzuki.blogspot.com/2010/03/blog-post.html

北島と姫川の二人の違いを表すのに、こんなエピソードがある。
ヘレン・ケラー役のオーディションの最終選考に残った金谷英美、姫川亜弓北島マヤの三人は「ヘレン・ケラーとして待つように」と言われて待合室に待たされる。
1時間、2時間…
時間だけが過ぎてゆくなか突如、火災報知器が鳴り響く、
思わず音に反応してしまった金谷は数秒後、微動だにしない北島と姫川の姿を見て己の失敗に気がついた。そう、これも試験の一つだったのだ。
試験後にどうして火災報知器の音に反応しなかったのか聞かれて、姫川と北島はこう答えた。
姫川亜弓ヘレン・ケラーとして待つように言われたので無視しました」
北島マヤ「火災報知機の音も何も聞こえませんでした」

思うがまま、感じるまま、振る舞いそのものが感情を表し演技となる北島マヤ、一方、あくまでも女優として演技をすることにこだわりを持ち、完璧なな演技を目指す姫川亜弓
ブラックスワンのレビューを見ると、姫川亜弓が自分を解放することで北島マヤに近づく映画といった捉えられ方をしているが、姫川亜弓ファンの私としては違う解釈をとる。
この映画は、姫川亜弓が己の道を貫き、完璧な演技によって遂にはマヤを越える物語だと思う。

ブラックスワンにおいて、姫川亜弓をニナとするならば、対照的なリリーは北島マヤに当たるのだろうか。マヤは乱交などしないが、狼少女になりきるために山篭りで演技の武者修行をする等の実践派の女優である。不純異性交遊を繰り返して、ラサール石井の妄想のごとく演技力に磨きがかかるニナは、アウトローという点において北島マヤに似ているのかもしれない。
しかし、これではラストシーン手前の、楽屋でニナが幻影のリリーを刺し殺し、覚醒することで完璧な黒鳥を舞うシーンの説明がつかない。
ニナが性的に抑圧されていた自分を刺し殺すことで、黒鳥への変身を遂げるなら、「白=抑圧の象徴」である母親が楽屋に現れるはずだ。
己の完璧さを求める演技を殺すことで、自由奔放な欲望のままに舞う黒鳥、ニナがそんなものを舞っていたら、感極まった現実のリリーがわざわざ褒めに来ることもない、それこそ楽屋の幻影のリリーに役を奪われてしまったも同然である。
ニナはリリーをはるかに超える恐ろしい黒鳥を舞った、この前提にたつと、楽屋でニナがリリーを刺し殺すシーンは、ニナが自分自身の感じるがまま思うがま黒鳥を舞うという意志を殺すシーンとも取れる。
それでは、ニナが目指し実際に舞うことが叶った黒鳥とはどんなものであったか
完璧な黒、すなわち赤、先代のベスの演技であった。

劇中でのベスの扱いはあまり恵まれたものでは無い。誰も見向きをしない過去の人扱いである。そんななかでもニナが唯一心の頼りにしているのがベスの存在だった。
化粧をして振付師と直談判しに行ったのは誘惑するためではない、ベスから盗んだ口紅を使うことでベスに成り切ろうとしたためだ。
振付師がリリーの黒鳥を褒め、彼女のように悩ましく艶やかに踊れと指示しても、ニナの表情はどこか上の空である。
ニナはリリーの奔放さに憧れるし、彼女と一夜を共にする妄想すら見るが、それでも彼女のバレエはニナの理想とするものではない。
リリーの背中に刻まれた、黒い翼の入れ墨が象徴的である。入れ墨が後から人為的に彫られた黒である。一方ニナは体内から黒い羽毛が生えてきて(無論妄想だが)、完璧な演技をする。
入れ墨の黒い翼と体内から生える黒い翼、どちらがより美しいかは明白だ。
羽毛が最初に生えて来る箇所が、性的抑圧の象徴である赤いジンマシンからであることも興味深い。そして、ニナが最後に本当に赤に染まることで映画は終わりを告げる。ニナを赤く染めた血液はやがて黒く凝固し、彼女を闇よりも暗く染め上げるだろう。
私はこれをハッピーエンドと考える。

赤こそが、完璧な演技こそが、思いのまま欲望を踊るよりも管理され抑制された欲望の方が、より妖艶で美しい。舞台に必要なものは人生経験ではなく演技であり、内面など不要。
内面を持たないモノが、どうすれば世界に一撃できるか非常に参考になる話だった。

蛇足だが私の解釈から冒頭のラサール石井に戻るなら、浅田真央は恋愛などする暇があれば影腹するくらいの気合いと根性で完璧な演技を目指して練習しなければならないのだろう。

非現実的の王国で

二週間も前のことだけど、遅ばせながら最終日に観に行ってきた。想像していたよりずっと大きくて、水彩の淡い色合いが綺麗だった。
展示会の前の方のヘンリー・ダーガーの来歴を読むと、彼は知的障害というより高機能自閉症アスペルガー的な人物だったみたい。社会の底辺とはいえ、ぎりぎりで社会と接して生きていけるボーダーラインの人。

そう考えると、彼の創作が理解できてくる。
彼が理解出来ない・彼が憎む、この世界・この現実。
彼のことを理解しない・彼の存在を認めない、この社会・世間。
彼にとって自分以外の存在は気象のようなものだったんだろう。そこには因果関係もなく、神のサイによって予測不能な現象が発生する。

彼の書いた絵は、彼と現実の戦いに他ならない

祈るように自分の姿を少女たちに仮託して、現実を代表する大人たちを撃破する。少女たちにペニスが付いているのは、彼が童貞ゆえ男女の区別をつけられないからだ、と称する説もあるが失笑ものである。少女たちは少年の心を宿したヘンリー・ダーガーの姿に他ならない。作中にはヘンリー・ダーガーアルターエゴが多数登場するが、少女たちもまたその一部なのだ。

彼は、おそらくこうして物語を作らなければ正気ではいられなかったろう、生きていけなかっただろう。現実と彼をリンクするには1万6千ページにも及ぶ物語が必要だった。彼の持ちうる限りの全ての技術をかけて必死で描いた絵は、トレースしたためかにレイアウトや人物の構図に妙に迫力があって、気迫が感じられる。

彼の戦いの痕跡を示す、ブリキの缶いっぱいに詰められた無数の使い古した短い鉛筆の姿を見て、私はいつの間にか涙していた。

生きてゆくための、魂をかけた表現による叫び。
アウトサイダーの手芸ではなく、アウトサイダーアートと呼ばれる所以を感じることができる素晴らしい作品だった。

優しい嘘と暗黙の了解

http://d.hatena.ne.jp/yoghurt/20110415/p1
言いたいことは半分くらい飲めヨーグルトさんに代弁してもらってるなあ。
原発は福島が自ら進んで誘致してきた事業であるのは間違いない事実、そして県民に積極的に安全神話を信仰させるような教育をしてきたのも事実。
さんざん甘い汁を吸ってきて謝罪と賠償を請求してもねえ。

私は東電にはタテマエで腹を切る義務はあると思うけど、あくまでもタテマエで十分だと思う。技師が現場で逃げ出しても卑怯とは思わない、職業的責任はあってもそれ以上の仁義はないよ、福島のためとか日本のためとか気負いすぎ。
この世界に0リスクなんてものは存在しない。福島県も東電もそれは了解している。
タテマエとして0リスクを要求して、タテマエとして0リスクを売りつける、そこには、どこか暗黙の了解みたいなものがあったはずだ。
0.02%の嘘
http://www.lizard-tail.com/isana/archives/text/thought_about_radiation.html
より、一部改変
原発を誘致しても大丈夫?誰かにこう問われ、僕は一瞬迷い、大丈夫だよと答える。これぐらいなら大したことないよ。一瞬の躊躇を見抜いたのか、相手は怪訝そうな顔をする。
リンク先の人をおちょくるようで申し訳ないけど、40年前の福島の行政は本気でそう考えて原発を誘致したのかもしれない。アホな県民を納得させるための暗黙の了解、優しい嘘としての0リスク。

タテマエとして0リスクをうたったのならタテマエのために命はいただく、けども殉死は不要である。

私の家族は福島県に住んでいるが疎開しない理由

http://satoshi.blogs.com/life/2011/04/fukushima.html
妊婦に子供はいないけど、上のエントリを読んでかなりイラっと来たので書く。

「死にそうにお腹が減ってブドウにも手が届かない哀れで無力なキツネを見下して笑う底意地の悪いイヤな話よ」
「キツネは自分が死にかけていて無力でどうしようもないのが分かっていて『どうせあのブドウはすっぱいに決まってる』って負け惜しみを自分の心の最後の支えにしてるのに その哀れなキツネの精一杯の無様な矜持を満ち足りた者がよってたかって笑うのよ」

篠房六郎、百舌鳥谷さん逆上すより
アメリカに住んでBMVに乗り奥様はレクサスのお金持ちが「私の親戚が福島県にいたら子供と妊婦だけでも疎開させる理由」ですか。

いずれにせよ、そういう放射線の高い地域に住む事により、子供が10年以内に癌になったり、これから生まれる子供に障害が生ずる可能性が上昇することに関しては専門家の間でも意見が一致しているわけで、その確率がたとえ0.5%であれ0.05%であれ、影響を受けやすい子供や妊婦にはそんなところには住んでいて欲しくない思うのは人間の心情である。

彼はきっと自分にいくらお金がなくても「人間の心情」によって子供や妊婦を疎開させると主張するんだろうな、彼の定義では私は少なくとも人間の心情に欠けた「何か」なんだろう、まサイボーグですし。
チェルノブイリにだって人は住んでいる。飯舘村にだって子供はいる。
当事者の身になってと声高に主張する人ほど本当に他人ごとなんだなあと思わずにはいられない。

炎上マーケティングのターゲティング

http://d.hatena.ne.jp/hagex/20110306#p1
炎上マーケティングって言ったって本丸焼失しちゃ意味無いじゃん、とゆうかなぜ喧嘩が強そうな人に負け戦を仕掛けるんだと疑問に思ってたけど
http://togetter.com/li/120545
これ見てなんとなくわかった。
喧嘩が強いんじゃなくて死合が強いんだ、喧嘩はむしろ下手。炎上マーケティングを仕掛けた人たちは喧嘩が下手な部分だけを見てターゲットとしたんじゃないかなと。
んで死合になってしまい滝汗。

私などが解説するまでもないことだけど炎上マーケティングは基本的な流れとしては下のようになってるみたい
1.炎上
2.消火
3.加油
炎上させるまでにもコストがかかるので、マーケティング的には2と3のループを出来るだけ多く繰り返すほうが美味しい。
このケースでは2で謝罪しておいて、3で謝罪撤回やグダグダな対応、関係者を名乗るものの情報漏洩で出来るだけ炎上時間を長引かせている。
喧嘩が上手な人を相手にすると2,3のループを最小限にして決着をつけられてしまうから美味しくないので、喧嘩下手な人を狙って炎上させているんじゃないかなと思った。

自宅で生命維持装置を利用中の方はカスタマーセンターにご連絡ください

いや、別に東電を批判したいんじゃなくて、このセリフの持つ凄まじいまでのインパクトに思わず爆笑してしまった。
士郎正宗もびっくりのサイバーパンクの世界である、俺達はいつの間にかサイバーパンクディストピアに囚われていたんだ。こうゆう笑いは絶対好きそうだから計劃さんにもう少し長生きして欲しかったな。

(本当は東電のカスタマーセンターなんだけど)
「ご利用中の生命維持装置のバージョンは何でしょうか?」
「申し訳ございません、そちらの製品はサポートを終了しております」
「今ならアップグレード可能ですが、お客様の心肺能力のスペックですと、動作保証対象外となります」

「えーと少々お待ち下さい、シフトキーを押しながら、ダメですか、詳しい者に代わるのでもう少々お待ち下さい」
「あー、やっぱり駄目ですか、ハードと肉体、どちらに原因があるか特定する必要がありますね、再起動してもらえますか?」
「ちょっともう、今日中には終わりそうにもありませんね、明日またお電話ください」